【 時にはこんな… 】
「抱きしめられるのは嫌いじゃないけどさ」
と、ボソリとリョーマは呟いた。
そう、基本的に、抱きしめられるのは嫌いじゃない。気持ちいいし、何より安心する。良くは分からないけど。
だけど、だ。そう…だけども。
「………これは無いって景吾」
これって羽交い絞めって言うんじゃないの?と言いたくても言えない今のリョーマの心境。というか、ちょっとばかり、景吾さん何かに怯えてませんか?
「ぶっちゃけ邪魔なんだけど」
羽交い絞め云々は言わなくても邪魔とは口にしてしまう。そこら辺がリョーマがリョーマたる所以なのであるが、
「うるせぇ。我慢してろ」
けれど返って来る言葉も言葉なのだから、景吾も景吾というところか。
ガッチリまわされた腕。そして肩に乗せられた頭。それら全てを振り払うことも、リョーマには出来ず。仕方無しに景吾に寄りかかるようにして目を閉じてみる。
「景吾のバァカ」
「…………」
無言で返す景吾に、苦笑した。
END
たまには弱っちくなっちゃう景吾の小話。
景吾が何に怯えてたかは各自想像ということで。